弊社がひたちなか市にて手がけている新築住宅・ネコと暮らす平屋の家の工事も滞りなく工程を進め、断熱工事が終わりました。こちらの記事でも触れましたが、現在手がけているこの建物は高気密・高断熱住宅として施工しています。
ネコと暮らす平屋の家の計算上のUA値は0.38W/㎡Kとなります。関東地方においてZEH住宅に要求されている断熱性能がUA値0.60W/㎡Kですから、高断熱住宅を名乗っている他の会社の商品(敢えて商品と言います)と比較しても、かなり高性能な住宅となります。
とはいっても、計算上どれだけ高性能でも実際の施工が伴わなければ机上だけの話となってしまいますので、弊社では施工時にきちんと検査をすることによって、実際に建物がきちんと断熱性能を発揮できるように細心の注意を払っています。
床断熱
床断熱は木工事の最初の段階でおこないます。
土台敷をおこなった後、床断熱材を敷き、その上に構造用合板をかぶせます。
床断熱 | |||||
部位区分 | 断熱部 | 熱橋部 | |||
熱橋面積比(a) | 0.85 | 0.15 | |||
λ | d | D/λ(㎡・K/W) | |||
室内側表面熱伝達抵抗Ri | - | 0.15 | 0.15 | ||
合板 | 0.16 | 28 | 0.175 | 0.175 | |
グラスウール断熱材32K | 0.0365 | 120 | 3.287 | ||
天然木材 | 0.12 | 120 | 1.00 | ||
外気側表面熱伝達抵抗Ro | 0.04 | 0.04 | |||
熱貫流抵抗 | ΣR=Σ(Di/λi)[㎡・K/W] | 3.652 | 1.365 | ||
熱貫流率 | Un=1/ΣR[W/㎡・K] | 0.274 | 0.733 | ||
平均熱貫流率 | Ui=Σ(a×Un)[W/㎡・K] | 0.343 |
上記がネコと暮らす平屋の家における床断熱の計算式です。 一番最後に書かれている「平均熱貫流率」という項目の数値が、その部位の断熱性能をあらわします。熱貫流率ですから、読んで字のごとく熱が貫流、つまり外から家の中へと熱が動く率です。この数値が低ければ低いほど、熱が動かない、すなわち高断熱となるわけです。
床断熱は工事の際あっという間に隠れてしまって見えなくなりますが、断熱性能が低いと基礎下の冷たい空気が床まで伝わってしまい、冬に足下が寒い家となってしまいます。一昔前の家は床に断熱材なんて入ってませんから、住んでいる方は冬になるとスリッパが手放せなくなります。きちんと床断熱をすることで、真冬でもスリッパを履くことなく素足で歩ける家となります。
ちなみにスリッパって、元々は靴を履いたままの状態で家に上がるためのものらしいですね。チコちゃんが言ってました。
壁断熱
壁の断熱は駆体部分の工事が終わった後、天井断熱と同時並行でおこなっていきます。駆体部分が塞がっていないと、雨で濡れてしまう可能性があるので、雨が建物内に一切入ってこなくなる状況でスタートします。
壁断熱 | |||||
部位区分 | 断熱部 | 熱橋部 | |||
熱橋面積比(a) | 0.83 | 0.17 | |||
λ | d | D/λ(㎡・K/W) | |||
室内側表面熱伝達抵抗Ri | - | 0.11 | 0.11 | ||
MDF | 0.12 | 9 | 0.075 | 0.075 | |
高性能グラスウール断熱材16K | 0.0375 | 120 | 3.2 | ||
天然木材 | 0.12 | 120 | 1.00 | ||
外気側表面熱伝達抵抗Ro | 0.11 | 0.11 | |||
熱貫流抵抗 | ΣR=Σ(Di/λi)[㎡・K/W] | 3.495 | 1.295 | ||
熱貫流率 | Un=1/ΣR[W/㎡・K] | 0.287 | 0.773 | ||
平均熱貫流率 | Ui=Σ(a×Un)[W/㎡・K] | 0.370 |
壁の断熱計算はこんな感じです。断熱材の厚みは12㎝、柱が4寸柱で12㎝ですから、柱の厚み分断熱材をギッシリと詰め込んでいます。グラスウールというと安価で性能が低い断熱材というイメージですが、きちんとした施工をすることであまりコストをかけることなく、高性能の断熱住宅とすることができます。実際、欧米でも断熱材の主流はグラスウールですしね。
天井断熱
天井には15.5㎝の厚みの断熱材を2枚重ねて、31㎝もの厚さの断熱材を入れています。天井に厚みのある断熱材を入れる理由は2つあります。
1つ目は、夏場の天井裏にこもる蒸し暑い空気を塞ぐため。真夏の屋根は直射日光に熱せられて60℃にもなります。ガルバリウム屋根だと金属ですので、かなりの高温になります。真夏だと屋根で目玉焼きが作れます。
屋根が高温になりますから、当然屋根と接している小屋裏の空間もかなりの温度となります。真夏に蒸し暑い不快な家とならないために、天井断熱は重要です。
2つ目の理由としては、簡単に厚みを増やせるから。床や壁で断熱材の厚みを増やそうとすれば大がかりな工事が必要ですが、天井だと断熱材を2枚重ねにするだけです。たいした手間は必要ありませんので、弊社では天井の断熱性能をより高くするようにしています。
天井断熱 | |||||
部位区分 | 断熱部 | 熱橋部 | |||
熱橋面積比(a) | 0.87 | 0.13 | |||
λ | d | D/λ(㎡・K/W) | |||
室内側表面熱伝達抵抗Ri | - | 0.09 | 0.00 | ||
せっこうボード | 0.241 | 9.5 | 0.039 | ||
高性能グラスウール断熱材16K | 0.0375 | 310 | 8.266 | ||
天然木材 | 0.12 | 310 | 2.583 | ||
外気側表面熱伝達抵抗Ro | 0.09 | ||||
熱貫流抵抗 | ΣR=Σ(Di/λi)[㎡・K/W] | 8.485 | 2.583 | ||
熱貫流率 | Un=1/ΣR[W/㎡・K] | 0.118 | 0.388 | ||
平均熱貫流率 | Ui=Σ(a×Un)[W/㎡・K] | 0.154 |
天井断熱の計算表です。床や壁と比べて、断熱材に厚さがある分、断熱性能が高いことがわかります。天井の断熱性能を高くすることで、より高断熱の住宅となるわけです。この建物は平屋ですので、天井断熱の性能が顕著にあらわれてきます。
気密工事
断熱材をただ入れるだけでは、快適な住宅とはなりません。気密性がとれていないと、床下や外気の空気が家の中へと入ってきてしまい、せっかくの断熱性能を低下させる要因となります。弊社ではきちんと高断熱住宅としての性能を発揮させるために、建物の気密性にも気をつかっています。
家づくりを検討されている方々が、弊社のような小さな会社に持たれている不安というものは、ハウスメーカーのような大きな会社と比べて、きちんとした施工をしてくれるのだろうか、というものがかなりのウエイトを占めると思います。建物のデザインは出来上がったものをみればわかりますが、建物の性能部分は壁のなかに隠れてしまいますから。
弊社としては、ブログを通してほんの少しでも、つくっている住宅が大手のハウスメーカーに比肩する住宅性能をきちんと確保している(断熱性能はたいていの大手ハウスメーカーよりは高いと思います)ということが伝わってくれればなあと切に願っています。
弊社の家づくりに少しでも関心をお持ち頂けましたら、是非お気軽にお問い合わせください。