次世代住宅ポイントの実情

次世代住宅ポイント

令和元年10月1日本日から消費税が8%から10%へと引き上げられました。
一部商品は軽減税率となり8%が維持されますが、不動産・建築業界にはまったく無関係なようで、関連するものは10%へと増税されてしまいます。
消費税増にともなう消費の冷え込みが懸念されるところですが、景気の下降を回避すべく政府が建築業界向けに景気対策として用意したのが「次世代住宅ポイント」です。

次世代住宅ポイントとは

次世代住宅ポイント制度とは、消費税率10%が適用される一定の省エネ性、耐震性、バリアフリー性能等を満たす住宅や家事負担の軽減に資する住宅の新築やリフォームをされた方に対し、さまざまな商品と交換できるポイントを発行する制度です。次世代住宅ポイント申請の期限は2020年3月31日となっていますが、予算の執行状況によって変わるとのことなので、政府の予想より新築住宅の着工戸数が多ければ、期限前に締め切りとなります。

概要はこちらになります。(PDF資料)
https://www.jisedai-points.jp/doc/190104_overview.pdf

次世代住宅ポイントが貰える住宅

次世代住宅ポイント対象住宅

一定の性能を有する住宅
性能 ポイント数
断熱性能等級4又は一次エネルギー消費等級4以上 300,000ポイント/戸
劣化対策等級3かつ維持管理対策等級2以上
耐震等級2以上または免震建築物
高齢者等配慮対策等級3以上
高い性能を有する住宅
性能 ポイント数
認定長期優良住宅 50,000ポイント/戸
認定低炭素建築物
性能向上認定計画
ZEH住宅
家事負担軽減に資する設備を設置した住宅
家事負担軽減に資する住宅設備の種類 ポイント数
ビルトイン食洗機 18,000ポイント/戸
掃除しやすいレンジフード 9,000ポイント/戸
ビルトイン自動調理対応コンロ 12,000ポイント/戸
浴室乾燥機 18,000ポイント/戸
掃除しやすいトイレ 18,000ポイント/戸
宅配ボックス 10,000ポイント/戸

次世代住宅ポイントを貰える住宅は、「一定の性能を有する住宅」の新築が30万ポイント、「高い性能を有する住宅」の新築が35万ポイントとなり、家事負担軽減に資する住宅設備を設置すると、さらに一定のポイント(MAX5万ポイント)が貰える仕組みとなっています。
リフォーム工事だと子育て世代が既存住宅を購入しリフォーム工事を行う場合のMAXが60万ポイント、自ら居住している住宅のリフォーム工事の場合でMAX45万ポイントと新築住宅よりも多くのポイントが貰えるようになっていますが、ポイント数を稼ぐためには住宅の全面的な断熱工事が必要になりますので、実際のポイント数はそれほどにはならない場合がほとんどかと思います。

次世代住宅ポイントの現状

さて、今回の次世代住宅ポイントですが、過去に景気対策として行われたエコポイントや住宅ポイント制度と大きな違いがあります。それは、すべてのポイントをカタログ内の製品から選択する、ということです。
前回の住宅エコポイントには引き換え商品として、商品券や旅行券といったギフト券が用意されていました。ギフト券があるのにわざわざ商品と引き換える人はそうはいませんので、前回のエコポイントはほとんどギフト券に変換されただろうと予想されます。
手間暇をかけて商品の登録を行い、エコポイントの引き換えによる売上増を期待していた業者にとっては面白いはずもありません。かなりの不平不満が事務局に伝わっただろうことも容易に想像できます。そういった業者側の意見をくみ上げ、消費者サイドの意見に耳を貸さなかった結果として、今回の次世代住宅ポイントは必ず何かしらの商品を選ぶ形となったと思われます。

次世代住宅ポイント交換商品
https://goods.jisedai-points.jp/jjp01/jjp/viewCategoryTop

上記のサイトが、「次世代住宅ポイントの交換商品検索サイト」です。
2019年10月1日現在、2万超の商品が登録されており、商品数だけみるとかなりの数なのですが、カタログの中身をみてみると、新築住宅を建てた方やリフォーム工事をされた方が、商品を選びきるのにかなり難儀すると思います。
違う業者が同じ商品を登録してたりするので商品自体にかなりの重複があり、実際の商品数が登録総数よりかなり少ないというのもありますが、最も厄介な点として、ポイント数=小売販売価格、ではないのです。

ダイソン掃除機

掃除・洗濯家電に登録されているダイソンの掃除機、コードレスクリーナー V11 Fluffyを例に取ってみます。10月1日現在、ダイソンの掃除機V11Fluffyを次世代住宅ポイントのカタログに登録している業者は4社、ポイント数は全社同じ120,000ポイントです。さて、このダイソンの掃除V11 Fluffy、日本最大手のネット通販サイトであるAmazonをみてみると、現在の価格で60,700円となっています。12万ポイントと6万円がイコール…今回の次世代住宅ポイントをダイソンの掃除機に交換しようとすると、1円=0.5ポイントの換算となります。

カタログ内の商品を色々とみると、商品によって販売価格と必要交換ポイントのレートが結構違っているので、次世代住宅ポイントを商品と交換するときに最初に行うことは、どれを選ぶとお得なのかを地道に探す作業となります。
それを30万ポイント分行うのはかなりの労力になりますし、夫婦やお子さんの意見をすりあわせるのもかなり大変だろうと思います。

カタログは2020年3月まで随時変更されるそうなので、後々商品交換に必要なポイント数が変わる可能性はありますが、現時点(2019年10月1日)においてはポイント数を額面通り受け取って期待値を上げすぎないようにした方がいいかもしれません。