新国立競技場に行ってきました

新国立競技場

あけましておめでとうございます。
本年も株式会社東和不動産一級建築士事務所をどうぞよろしくお願いします。
 
2020年の元日は天皇杯決勝を観戦するために、竣工したばかりの新国立競技場へと行ってきました。
新国立競技場についてはメディア等で散々報道されてるので、ほとんどの方にとっては説明不要かと思います。
なお、試合内容および試合結果については諸事情により割愛いたします。
 
新国立競技場には千駄ヶ谷駅から向かいました。
東京体育館の脇を通り過ぎると、木のルーバーが印象的な新国立競技場が見えてきます。
新国立競技場
 
 
遠目からだと中々にみえる新国立競技場なのですが、近づくと印象が一変します。
 
まずは新国立競技場の象徴ともいえる木でつくられたルーバーなのですが、近づいて見上げてみると吊り天井に使われる吊り材に木を打ち付けただけという、とても安易な施工であることがわかります。
たしかにコストは安く施工できるだろうけど、いくらなんでも日本を代表することになる建築物でこのおさまりはいかがなものかと。。
新国立競技場の設計者である隈研吾はいろんな建築物で木のルーバーを多用していますが、ここまで酷いものはないと思うので、おそらく設計者の意図ではないでしょう。
新国立競技場
 
新国立競技場ルーバー

脳天で打ち付けただけのお手軽施工。いくらなんでもこれはねえ…。

 
外部コンコースも構造部分や設備のダクト等がすべてむき出しになっていて、かなりコストカットをしていることが見るからにわかります。
新国立競技場コンコース
 
特別席に入るためのエントランスですらこんな感じ
 
新国立競技場エントランス
 
今年の7月には東京オリンピックが開催されるわけですが、ここに案内される各国の要人はどういう感想を持つのでしょうかねえ。
 
 
スタジアムのなかに入るとさらに唖然とする光景が広がります。
 
新国立競技場コンコース
 
天井がむき出しなのは外部でみてるのでそうだろうなという感想ですが、コンコースが狭いのはげんなり。席に向かう人で渋滞ができています。
今回はトイレには入っていないので中はわからないですが、男女ともにトイレも渋滞が起きてました。スタジアムでトイレの快適さって結構大事だと思うんだけどなあ。
 
さて、新国立競技場でもっとも話題となっていたのが、屋根を支える木の梁ですが、…ある意味想像以上でした。
はっきり言って木の要素ほぼないです。鉄骨に木を貼り付けただけですから当然なのですが、どうみてもこれは鉄骨です。
 
新国立競技場屋根
 
新国立競技場屋根の梁

これを観て木の梁が素敵って思う人はいるのでしょうか。

 
…これ、意匠的に何の意味もないでしょ。無駄にお金かかっただけ。
屋根の下で影になってるから、薄暗くしかみえないし、木なんてあっという間に褪せるから、数年後にはさらにみすぼらしくなるし。
鉄骨感がまったくなくて、しかも透明な素材で出来た屋根なら、木の梁が日光に照らされて意匠的には生えたのでしょうが、これではあまりにも…。
これを2020年の7月に始まるオリンピックで全世界に晒すのかと思うと、日本人として気が滅入ります。
 
ちなみにサッカースタジアムとしても最悪でした。
ピッチが見づらいのはトラック部分があるのでまあ仕方がないとしても、一番酷いのはゴール裏のつくり。
 
新国立競技場ゴール裏
 
鹿島側になったゴール裏なのですが、三層に分かれてる上にど真ん中にゲートが。。
これでは一体感のある応援なんて無理だし、しかもこのゲートはマラソンゲート用でオリンピックでは使われないというオチつき。
 
はっきりいって、このスタジアムでサッカーの試合をやってはダメ。
ゴール裏でまともに応援できないスタジアムなんて論外。
このスタジアムにかかわった人は、一度でもスタジアムで観戦したことあるのかと。
 
サブトラックがないから陸上競技大会はできない、サッカースタジアムとしても酷いつくり。見栄えがいいわけでもないから、日本を代表する建築物とはとうてい言えない。
むしろ、外国の人に見られるのが恥ずかしいレベル。
 
いったいこれは誰のためのスタジアムなのだろう、という疑問しか浮かんでこない。
グダグダだった設計コンペ。実力ではなくてコネや金で選ばれる施工会社。安っぽいつくりなのに不思議と大金が費やされる予算。いったいお金はどこに消えたのか。
 
新国立競技場には日本がダメになった理由がすべて凝縮されてるなあ、というのが元日に観戦したときに浮かんだ正直な感想です。